福祉職の待遇を軽視してきたツケが
高齢者の入院は怖い。その理由はここで書いたが、実習先でこんな事例を見た。
A様が退院して戻って来られた。
ある日、A様が椅子から立ち上がろうとした。しかし、入院中に脚力が弱っていたため、床に崩れこんでしまった。
その結果、A様は椅子から車椅子へと変更になり、車椅子にはセンサーが取り付けられた。
①A様が車椅子から立ち上がろうとする。
②車椅子から警告音がピーピーピーと鳴る。
③職員がA様のもとに飛んできて制する。
これが延々と繰り返される。とうとうA様は、施設内を自由に歩くことができなくなってしまった。
立ちたいのに、A様はそれを制される。制される理由は危険だからである。転んで骨折でもしたら、また入院になるからだ。
ずっと座っていれば、誰だって立ち上がりたくなる。
ずっと、座らされる辛さ。
明日は我が身である。私も。たまたまこのブログを読んだあなたも。
A様は決して立てないわけではなく、隣で誰かの援助があれば施設内を散歩することができる。そういう援助こそ、介護職の役割だと考える。しかし、現実は難しい。人材不足だからだ。
これは、世が福祉職の待遇を軽視してきたツケだと考える。そのツケが、我々に降りかかっている。