高齢者施設で働くということ

仕事のことをメインに、日常生活でおやおや?と思ったことや、どうでもよいことなど、約1億2600人のうちの一人のつぶやき。

施設に森のくまさん登場


自分の口の中を、誰かにいじられたくないご利用者が多い。介護職員は、口腔ケアをするために、あれやこれやと手を考える。ある日、先輩職員のYさんが、こんな技を使っていたのを見た。

ご利用者Bさんは入れ歯も、自分の歯もない。だが、唇の力は強く、むぎゅーっと力いっぱい閉じてしまう。そのBさんを前に、職員のYさんは愉快にテンポよく歌い出した。「あ~る~日~、森のな~か~、くまさ~んに~、出~会っ “た” 」の、“た” のところで、歯ブラシをスポッとBさんのお口の中へ。そして、「スタコ~ラ、サッサ、サ~のサ~、スタコ~ラ、サッサ、サ~のサ~」と歯ブラシで舌や左右の頬の残渣物を取り除いて、「はい、お・し・ま・い」ってな具合である。さすがのBさんも、「クマさ~んに~、出~会っ “た” 」の、“た” のところまでくると、油断していたのだろう。まんまと職員Yさんの手に引っ掛かったしまったと言っても良い。

私も、その手を使おうかと思ったが、なんせ自他共に認める超絶音痴である。私が歌おうものなら、森で迷子になって熊にも出会えないだろう。
他の手を考えよう。